生還す 1

小鳥来る火気厳禁の堀の内  石寒太

季語の斡旋が熟練かつ若々しい。上五で切れて、名詞は一つ。
火気厳禁の看板も古び、おそらく人もそれほど立ち寄らない、厳禁という言葉とは裏腹に非常に柔らかい光りのある句だと思う。

この石寒太の新句集「生還す」の観賞を書いていって、千字に編集して溜まったら、炎環に送ります。


やばいよ、新年会で文章に力入れますとか言って、何にもやってないんだもん。
先生の句の中で一番好きなのも入ってるし、面白く書きたいものです。

炎環7月号

鬼百合の合間合間に人隠す

次々に同じ氷菓を頼みけり

点在図

七月号掲載予定

春の夜のラジオの向きを決めてをり

巨大地下水脈昼寝あちこちで

はつなつのまへにならへの端つこよ

許されてゐること多し傘雨の忌

ががんぼの浮沈照明器具売り場

炎環 六月号掲載予定候補 ノート

てのひらのふりかけ甘し養花天

鎮痛僧の一心に飛ぶ東菊

鳥雲に背筋鍛えねばならぬ

蝶々を数えるテスト受けにけり

過労死の揚羽百匹吹き出しぬ

花束を隠しがうなに餌をやる

花の雨コピー用紙を詰め替える

春の夜紅茶を移しかえ冷ます

花林檎髪に弾力ありにけり

葱坊主昔は魔術かもしれず

王様は服毒自殺リラの花

手のひらに魚の臭ひ春の月

炎環二月号

暦果つ完膚無きまで空の下
黒帝のために陶器を炊き尽くす
十二月八日チューインガム白し
冬の夜のことばかり考えてをる

あと一句が思い出せない。
記憶に無い


フロー

炎環10月号掲載候補

夏の星遠き列車のやうに川
手から手へどの手がいもり捨てにゆく
湖に棒立つも涼しさとは無縁
油照り湖面の厚み増しゆけり
白南風や囲みて暗き魚の跳ね
冷房が骨軽くする真昼かな


峰雲の芯 流木 古木 太古
湖に映らぬ観覧車
誰にも見られない
広まつてゆく


炎環 9月

密造昼

蝉の昼床にカードの請求書

痺れたる手足真夏の河に似る

炎日の真中に皿割れてゐし

廃品や火と呟きし蟻の貌

台風来句稿埋まらぬ日々終へよ


炎環六月用

春山に入り慾深き話せむ
三日三晩桜散らしてやらうかな
春水のよくのびながら落ちゐたり
春水を吸ふ唇の
チューリップ咲くや帰省の喉かれて
真昼間をなほ揺れながら蝶の胴
春雷の輪郭となり抗はず



10日頃までにはそろえたい

テーマ : 俳句 - ジャンル : 小説・文学

炎環四月号

炎環四月号がきた。あまりいい句を出せなかったが、なんとか前から四ページ目に留まった。五月号は正直自信作というか、トータルバランスがいいので、来い!巻頭来い!とか思ってもいいだろ?

尖が投句しているのは一般会員用の炎環集という投句欄である。それは毎月先生が添削なり推薦句なりを付けてくれるのだが、梨花集という同人欄にはそれがない。

まぁ寒雷流の「同人になったら野垂れ死にしようと本人の力量がすべて」ということなのだろうが、やっぱり退屈だろう。俳句で野垂れ死にはさすがにないと思うが、退屈は俳句をだめにする。

ということで、尖が選びます。「退屈から同人を守れ!よいと思った作品ランキング」
名前はとりあえず「火尖集」です。




火尖集 四月

片方 藤本る衣
片方の靴下がない山眠る
湯ざめしてことさら白き蛍光灯
逆光の鶴にからだを跨がるる


啓明抄(九十九) 齋藤朝比古 
荒星や尿の音は水の音
組立てる前のフルート春の旅


てのひら 安西謙太郎
ワープロへ一本の指冬銀河
大根の切口来世への入り口


カレーの香 吉田悦花
にんげんも絶滅危惧種初明り
坂の上の冬の繊月そのまんま


ぴつたり 岡田由季
元日の犬におやつをやりすぎる
ぴつたりと身に沿ふスーツ冬の川


楽屋口 下田恭子
荒星やバケツへボルト・ナット投ぐ
冴ゆる夜の箒を逃げし紙の雪


道すがら(19) 市ノ瀬遙
竜の玉まことを尽くし遊びけり

春の色 乙訓淑子
戦没者墓苑冬のたんぽぽ横咲きに

ふくろふの森 榎本慶子
ふくろふの森に忘れし電子辞書

風花 三角千栄子
冬の蜘蛛父の机の穴ひとつ


今回は正選だけど逆選ランキングとかね、やってくから。

それぞれ作風がまったく違うので、こんなん嫌や!みたいな句もたくさんあって楽しかった。でも全体的にいいのってあまり多くない。まぁ、いい句ってのは稀少だからこそなのかもしれないな。

あと、今月の石寒太作品はすっごい良かった。瑞々しい。


偶数月号に佳句が多い気がする。





明日が鮫の日だったなら

泥に降る雪美しや泥になる  小川軽舟

上手いなぁ。
いいなぁと思う。こういうのできたら。

いろいろ書き物の多い1日だった。


炎環五月号掲載予定
春しぐれ弁当箱のふたの裏
三色菫スプレー缶を潰すなり
木の芽張る月に無数のクレーター
鳥の巣に似かよふ耳のまはりかな
卒業の傘ひらかれてゆきにけり

今作ったやつ。
綿雪や明日が鮫の日だつたなら
春雷や豊かに脹れレジ袋
十指十指油の臭ふ斑雪かな
模造紙はくしやくしやにせよ花曇
髭抜いて手に磨り潰す春の昼