懸垂体質

俳句研究賞という賞があります。世界二大俳句総合誌のひとつ、俳句研究の主催する未発表作50句の公募型の賞です。
それを、炎環の先輩、齋藤朝比古さんが受賞しました!
おめでとうございます!というわけなんですよ。

そうそう、賞金30万ですよ。17音×50=850音で30万!すごい!
あかんわ。真っ先に賞金の話なんて品格を疑われる。いいけど、お金大好きやし。今度こそ龍大の青春俳句大賞で賞金五万とってやるし。
とりあえず俳句始めた動機が青春俳句大賞での小遣い稼ぎやから、やっぱり狙ってかな。
初心忘れるべからず!


前置きが長くなりましたが受賞作品「懸垂」の中で好きな句をいくつか。


春の日の背面飛びが落ちてきし

背面跳びの選手が、そのカタチのままで落ちてくるというイメージ。重力以外の力が全て消えてしまったかのような。「落ちてきし」という言葉に、春独特の不安定さを感じます。

羽閉ぢて天道虫のひと粒に

「ひと粒に」という結末、読者をものすごい勢いで注目させる。
この句の下敷きになっている高野素十の名作
翅わつててんたう虫の飛びいづる
の名作たる所以は「翅わつて」という的確にして斬新な把握であるが、「ひと粒に」はその点において完全に拮抗している。俺が歴史なら絶対この句も残す。

他にも、

新しき靴履く痛み麦の秋
うつくしく屋根の傾く緑雨かな
ピンホールカメラの前の白牡丹
風鈴のあをあを鳴つてゐたりけり
柚子の実の短き距離を転がれり
ふくろふや絵本の家のたいたがる
戦場のカメラ毛布に包まるる
万力の力抜けゐて夜の雪
人形に人形積まれ牡丹雪

などに○をつけたが、これらはほとんど選考委員の人の選んだ句と同じだったので、俺の眼もフフフなかなか・・・と思うのと同時に、なんか複雑。だって、俺だけに分かる良さを黙って持っていたかった。
しかし、もうほんとにいい受賞作なので、そんなことは不可能。この五十句を読んだ多くの人が多くの句に○を付け、自分の名句帳に書き写すことだろう。

今回というか前回もですが、選考過程を読んで思ったこと。
「懸垂」の場合では

懸垂の底にて夏の雲仰ぐ

が表題作ですが、表題作の評価がどの候補作でも概ね低かったこと。
これ、タイトルと俳句の関係を考える上で大きなヒントになるかもしれません。

テーマ : 俳句 - ジャンル : 小説・文学

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