選集

句が出来ないときは今まで作ってきた自分の好きな句を並べる。
そうすれば、なんとなく流れというかリズムというかそういうのが整う。
これをするのは今回で二度目。

炎環作品

蝦蛄葉仙人掌けふ会ふ人の喋り好き
夕闇がざくざくざくと葱畑
葬列やこの如月の快晴を
春近し府立図書館休館日
春泥は今夜動くかもしれぬ

夜といふ地球の影のあたたかし
春雨や梅田に赤き観覧車
母とゆく一輪草を見るために
麗らかや眼鏡屋を出てすぐ左
夜桜や人に血の管酒の管

春霖やバスの座席の深みどり
爆弾の名に雛菊とつけしは誰
手品師の笑み零れくる五月かな
夏空の圧倒的な消去法
書庫といふ草いきれにも似たるもの

しばらくは私をなぞる蚊遣かな
扇風機自分いらなくなりにけり
梅雨入りと視力検査の片目かな
夏雲やちぎつて使ふガムテープ
逢ひたきときは夕焼の砂の粒

妹の日傘の影が手に触れぬ
口々に蛍袋を塞ぎけり
夏蝶といふ遥かなる立眩み
本当に薄羽蜉蝣なのですか
秋の日の木片として影なせり

正解は右手檀の実はあげない
桃食ふや何に背きしかは知らず
木犀の夜は曲線をなぞるのみ
愛すれば月光を振りほどきあふ
冬の川一枚きりの置かれあり

柊の花や天使はまた無言
冬木の芽三時間目をさぼりけり
我が夜に鋼の枯野ありにけり
白息の重さふくらみつつ灯る
コート着て十字路曲るたび嬉し

逢ひたしや星間に置く冬林檎
春雷の輪郭となり抗はず
春山に入り欲深き話しせむ
三日三晩桜ちらしてやらうかな
春水のよくのびながら落ちゐたり

廃品や火と呟きし蟻の貌





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