信長の鼻

夜中、誰かがアパートにやってきた。
誰だ。彼女さんは実家に帰っている。
ドアを開けるとそこには織田信長と二人の家来がいた。みんな鎧を着ている。俺にはなぜかそいつが信長だと分かった。信長の家来が一歩前にでてこう言った。
「今夜ここを宿営地にする」
そして信長御一行は台所、和室、どんどん部屋にあがりこんで、寝室に入ると奥の壁にもたれて座り込んだ。
しかたがなく俺もついていく。とりあえず彼女さんが実家に行っていてよかった。こんな変な奴等ばれないうちに明日の朝追い出そう。
信長は鼻をほじりながら、実家の如くくつろいでいる。他二名の家来も同じ。冷蔵庫からチーズケーキを取り出して食べている。
こいつら、何しに来たんだ。あ、ああ、なんてことだ、この青びょうたんのような鎧男が信長だと分かったように、今日が本能寺の変のあった日で、明智光秀がここに攻め入ってくるということに気づいてしまった。
「ちょ、信長、お前、今日、死ぬんやけど!?」
信長はまだ鼻をほじっている。鼻くそを飛ばして信長はこういった。
「はぁ?」
はぁ?じゃねぇ!鼻くそを飛ばすな!光秀に殺されろ!
いやいやいや、そうじゃない。信長が死ぬのは史実だからいい。問題は、いま光秀がきたら確実にとばっちりだ。鼻くそを飛ばすように首をとばされてしまう。やばいやばい。信長をかくまうことはまったくの不本意だが、ここはバリケードを築いて敵の侵入を防がねば。俺はいそいで押入れを開け、蒲団を襖の前に積み上げる。あとは襖の隙間から弓矢の発射台を作って迎撃態勢を整えよう。よし、信長の家来にも手伝ってもらおう。そういえば家来、家来は何をやっているのか。
「いやぁ次郎殿は強うござるなぁ」
「ぬはははは、三郎殿もかなりのお手前」
うおぉい!オセロに興じてんじゃねぇえ!!
俺は改めて家来と信長に光秀が攻めてくることを説明するが、一笑にふされ、あろうことか、せっかく築いたバリケードにダイブして遊びだしやがった。バリケードがすっかり崩れ、俺だけが途方にくれていたころ、アパートをノックする音がする。来た、奴が来た。急いで家来の弓矢を奪い、襖の隙間からドアを狙う。入ってきたのは白い髭の初老の武将、明らかに戦慣れしている様子だ。キッチンを越えて、和室に足を踏み入れたそのとき、俺の弓がしなり、矢を放った!が、15センチほどの矢はあっけなく鎧に弾かれ、床にポトリと落ちる。てか、なんで15センチ?白髭の武将は矢を拾うと、隙間からのぞく俺をギロリと睨んだ。あああああああああ、死ぬ!マジで殺される!!!うわぁああ。
信長、信長は鼻をほじっている。
武将が襖を開け、俺の前に立ち、刀を抜く、と同時に部屋を見渡し、信長を確認する。そして、狙いを俺に定め、えっ、弱い者狙いですか。くそう、刀を振り下ろした!
うわぁぁと叫んで目覚めたのは、ええ、本当に久しぶりです。




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雑感 | コメント(0) | トラックバック(0)2009/02/22(日)12:53

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自己弁護

kasen

Author:kasen
1984 11 生まれる。
2005 03 俳句を始める。
2006 01 炎環入会

好きな食べ物・ラーメン
好きな建物・図書館
好きなのは言葉。

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