参列
正面玄関からの幸せを友人は手に入れた。
友人は結婚したのだ。
学生時代のやつは恋愛や結婚に懐疑的だった。とは言っても、疑いの目で見ながら常に求めているようなところがあったから、本当は人以上に熱心に本物を見極めようとしていたのかもしれない。
そして、ようやく信じるに足る人が現れ、一気に氷解した。そんな感じの結婚式だった。
終始頬は緩みっぱなし、そして笑顔で写真を撮られるような不手際を以前のやつなら絶対に犯さなかったのに、辺り構わず振り撒いてた。
まいったね、一方的に寂しくなってしまって、こんなにおめでたいことはないよ。
同僚や上司が祝辞を述べる正面玄関からの幸せをすこし羨ましく思うよ。