京都の夜はまだ蒸します。
最近の仕事への不平不満といい、未だに順応しきれない尖が割と好きなんですが、何の役にもたたないですね。
日曜日も午後十時を回ると頭の中の陰鬱スイッチが入りっぱなしになって、どんだけ仕事嫌なんだよと思うのですが、一方で、まだマシな待遇ではあると思う。
いろんな感情でもやもやするとき、目の前がぐるんぐるんするとき、
春に辞めた同期が秋に仕事が見つかり、
カチリと何か歯車が進んだ感じがしたとき、
そんなときに読む句集は
丹沢亜郎の「盲人シネマ」
亜郎さんは高円寺で小さいライブハウスを経営している。
七月に彼女と訪れたときは突然だったので驚かれたが、楽しい時を過ごせた。
ライブハウスや映画館などの暗いところに浮かぶ人間の表情は濃い。
カウンターの白熱灯に皮膚の脂と影、音楽に空気をたくさん使っている。
マイルス・デイビス逝くセーターの静電気
階段の中ほどに坐し除夜の鐘
通夜明けて童話の色の冬苺
ストーブの油こくんと母はなし
北窓を開け北窓を寂しくす
空蝉を脇に刺青写真集
サド伝記香水の壜どれも空
ピアニカを吹く緋のカンナ黄のカンナこの句群とは関係ないのかもしれないけど、
いろいろなものが通り過ぎていく寂しさを、
感じて、尖は「盲人シネマ」を本棚から引っ張りだしたのです。
テーマ : 俳句 - ジャンル : 小説・文学